はじまり


世界中でいちばん美しいところ」だと“赤毛のアン”の著者モンゴメリが語るカナダ、プリンスエドワード島。

その島の魅力に惹かれて移住した私たちは(私たちというのは夫マークと私テリー。呼び名は英語ですが、二人とも日本人です。)

1988年からBlue Winds(ブルーウインズ)というティールームを始めました。
最初はニューロンドン湾を臨むモンゴメリの生家のすぐ近くにあったギフトショップの中でスタートし、数年後、お店を自宅に移しました。

我が家は 1912年に建てられた典型的な PEIの農家です。この家を建てたマッケイさん夫婦が住んでいたころ “パーラー” と呼ばれていた正面の部屋を改装し、4テーブルだけの小さなティールームとして新たにオープンしたのは 1995年のことでした。

デラ・マッケイさんは、近所の人たちから“デラおばさん”と呼ばれていてベーキングが得意な人だったと、いまでも覚えている人たちが話してくれます。もてなし好きなデラおばさんの家は、いつも人が訪ねてくる楽しい所だったと聞き、お料理やベーキングが好きでここにティールームをオープンした私たちは、この家との出会いに不思議な縁を感じたものでした。

5月中旬から10月中旬までのオープンの期間中、世界中からお客様が訪れてくれます。

アンやモンゴメリに因んだ飲み物やデザートもメニューに含め、何でも手作りが好きな私たちは、「手作り」「オリジナル」を基本に食事やデザートを出しています。
私たちが日本人であるため、しばしば白人のお客様から“どうして「すし」や「日本食」を出さないのか”と聞かれて困るのですが、私たちのイメージであるティールームは、家庭的な雰囲気の中でくつろいで食事やお茶を楽しんでいただき、その中に日本人的な配慮を入れたい、というものであって、特に日本的なメニューを目指しているわけではないのです。
(2008年からは“和風ディナー”がメニューに加わりました)

自分たちがおいしいと思うものをお客様にも紹介したいという気持ちからメニューを作ったり増やしたりしているので、イギリス風のアフタヌーンティーもあれば、スパイスの利いたインド風のカレーも作りますし、時には自分で考え出した国籍のないデザートやお料理も登場させています。
そしてここ数年前から、オリジナルのクラフトもティールームに並べることができるようになりました。手仕事の好きな夫マークと、粘土細工に凝り始めた私テリーの作品。数は多くないけれどすべて私たちが作り出したものです。

マークはウッドワークが好きで、パイン材やバーチ材でティーボックスや本箱を作っています。私は“スカルピー”という粘土で、お料理のミニチュアやカップボードの壁掛け、プリンスエドワード島の風景画などの、3ディメンションの作品を手がけています。

プリンスエドワード島の季節の風を感じながら、旅をする人たち、のんびりと休暇を過ごす人たちの中には、この家の雰囲気が気に入って、初めて訪ねて来られる方も多く、お茶やお食事を楽しまれたあと、PEIの思い出のページにブルーウインズのひとこまをそっと残しておいて下さるようで、私たちは新しい人たちとの出会いとともに、いくつもの「再会」をちりばめた夏を毎年過ごしています。

いつか訪ねてみてくださいね。

その日の風はどんな色に染まっているでしょうか?